雛人形の歴史・「ひなまつり」の起源と由来
意外と知らない「雛人形」と「ひなまつり」の起源と由来について解説します。
目次
日本の四季折々にあわせて祝う「節句のお祝い」。
そのなかでも3月3日は「桃の節句」として知られ、おひなさまや雛人形をきらびやかに飾り立てて、女子の健康と成長を願って「初節句のお祝い」を行います。古くは室町時代の宮中で「雛遊び(ひいなあそび)」として嗜まれていたおひなさまですが、現在の「雛祭り(ひなまつり)」として成立したのは江戸時代ごろだと言われています。宮中の雅なお遊びが、厄除けのために川で雛人形を流す儀式と結びつき、年中行事のひとつ、そして、楽しいイベントごととして親しまれるようになりました。
ここでは、「和の贈り物」としての「雛人形(ひなにんぎょう)」に注目して、その歴史と起源、由来を解説していきます。
古式の雛人形「有識雛(ゆうそくびな)」と、宮中の作法

「有職雛(ゆうそくびな)」という雛人形をご存知ですか?
古式ゆかしい宮中の衣装を忠実に再現した雛人形のことを指す「有職雛(ゆうそくびな)」。古来より、宮中の作法・習慣・法令・制度・行事・風習・風俗・官職・儀式など、公家と朝廷文化に通じた知識を指す「有職故実(ゆうそくこじつ)」という言葉からきています。
現代でも、1つの専門分野に通じた人のことを「有識者(ゆうしきしゃ)」と呼びますが、「雛人形」の世界においては、「古来朝廷の正式な装束や衣装道具を、古式にのっとり忠実に再現して纏った雛人形」のことをこう呼びます。
江の島の博物館などでは、江戸時代・将軍吉綱の時代から伝わる「将軍所蔵の有職雛(ゆうそくびな)」が展示されることがありますが、350年以上の昔から「伝統と古来の形式に忠実な雛人形」として、「格式の高い逸品」と重宝されていたことが伺えます。
お雛様とお内裏様を、煌びやかに飾り立てる「雛段(ひなだん)」

雛人形を煌びやかに飾り立てる「雛段(ひなだん)」。
「雛祭り」と聞くと、「お雛様」と「お内裏様」を思い浮かべがちですが、主役を彩る冠者達にどういった種類が存在するかご存知でしたか?
雛段の彩り:一段目「内裏雛(だいりびな)」
雛段の一段目を飾る男雛・女雛のペアを「内裏雛(だいりびな)」と呼びます。
本来、「内裏(だいり)」とは、「宮中における天皇の私的な空間」のことを指します。童謡に謡われる有名なフレーズ「おだいりさまとおひなさま」は、実は正確な表現ではなく、男女一対を「御内裏様(おだいりさま)」とするのが正式な呼称です。
雛段の彩り:二段目「三人官女(さんにんかんじょ)」
「三人官女(さんにんかんじょ)」は、皇后さまの身の回りの世話や雑務をこなす女官達です。
今でいえば、女性官僚や秘書官にあたり、宮中の立場ある人物に付けられるスタッフということになります。三人官女には、雛祭りの饗宴の場を取り仕切り、朝廷のトップをサポートする賢い女性が描かれます。
雛段の彩り:三段目「五人囃子(ごにんばやし)」
「五人囃子(ごにんばやし)」は、宴の舞台で能楽を演奏する五人の演者を指します。
「囃子(はやし)」とは、能楽の演奏形式の1つで、舞台の端から歌い上げる「地謡(じうたい)」と、笛・小鼓・大鼓・太鼓・琵琶・笙(しょう)・羯鼓(かっこ)など、七種類の楽器を持った四人の「楽師(がくし)」から構成されます。
雛段の彩り:四段目「随身(ずいじん)」
「随身(ずいじん)」は、上皇や位の高い大臣が外出する際に、身辺警護と護衛を担当する役人のことです。
身に纏うその装束から武官の身分であると言われ、天皇である「御内裏様(おだいりさま)」から見て、左側が「左近衛中将(さこんえのちゅうじょう)」、右側が「右近衛中将(うこんえのちゅうじょう)」とされます。老齢に差し掛かった上級武官と、勇ましく若い下級武官の二人で描かれます。
雛段の彩り:五段目「仕丁(しちょう)」
「しちょう(しちょう)」は、律令制度のもと、中央官庁での雑役を課せられてやってきた庶民の労働者です。
雛段のなかでは唯一の庶民出身者とされています。それぞれ、熊手(くまで)・塵取り(ちりとり)・箒(ほうき)を手に持った三人の仕丁は、「三人上戸(さんにんじょうご)」とも呼ばれ、それぞれが、人生の「笑い」「泣き」「怒り」を表した「○○上戸(じょうご)」としてコミカルな表情で描かれます。
雛段の彩り:六段目「嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)」
「嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)」は、家紋や黒と金の蒔絵細工で彩られた花嫁道具の一式です。
古来より、大名家の婚姻において、お家とお家の結びつきと自家の格式を示す象徴として姫に持たせた、豪華絢爛な嫁入り道具。それは雛人形の場合でも同様で、ミニチュアサイズに作らせた「嫁入道具揃(よめいりどうぐぞろい)」が、次第に雛段の六段目を飾るようになったそうです。
雛段の彩り:七段目「御輿入道具(おこしいれどうぐ)」
「御輿入道具(おこしいれどうぐ)」は、遠く嫁入りへと旅立つ姫君のための、盛大な婚礼行列を表します。
貴族の女性のための移動手段「御駕籠(おかご)」、豪華絢爛な装飾が施された「重箱(じゅうばこ)」、権威を示す優雅な乗り物「牛車(ぎっしゃ)」の三つからなります。「御輿入れ(おこしいれ)」の名の通り、婿殿の屋敷へ「御駕籠(おかご)」に乗って入って行くことから「玉の輿に乗る」の語源でもあります。
現代デザインで彩る雛人形:最新のお雛様いろいろ
日本の美と伝統によって支えられてきた雛人形の歴史ですが、昨今では所謂「変わり種」の雛人形も増えてきており、その種類は様々です。
より洗練されたデザイン性を感じるものから、春の季節感と女の子が喜ぶかわらしさをイメージしたもの。木工・工芸、果てはおもちゃの世界も巻き込んで、新たな雛人形の世界を作り出しています。
現代風の柄パターンが選べる雛人形「ぷりコレ」
ヒョウ柄やハート、チェック柄など、現代風のデザインパターンを衣装として、好みのパターンを選べる雛人形。「御内裏様(おだいりさま)」の男雛・女雛がペアとなった「親王飾り(しんのうかざり)」タイプでした。
「ヒョウ柄を着たお雛様」という点がおもしろく、インスタグラムやNAVERまとめで取り上げられているようですが、選べるパターン柄には、現代風の配色とパターンで描かれたドットやチェックなどもあり、シンプルに「他とはすこし趣の異なるオシャレなお雛様」が演出できます。
コロコロッとしたコンパクトな雛人形「ぷりふあ」
「雛人形」と聞くと顔立ちと等身の整った本格的なものが普通だと思いがちですが、こちらは、コロッと丸まった三等身サイズのかわいらしい雛人形です。前述の「ぷりコレ」を企画した「ぷりふあ人形」さんによるオリジナル商品で、こちらの人形も、着物や衣装の柄やカラーパターンが今風のデザインを思わせます。
和・洋を問わず、お部屋の中に飾るインテリアとしてもかわいらしく、雛祭りの季節のみならず、結婚式のお祝いや、玄関やリビングにさりげなく飾って置くにも美しく、かわいい、季節を選ばない雛人形です。
木でできた子どもに優しい人形「積み木おもちゃのおひなさま」
組み木作家の小黒三郎さんによる小さなお子さん向けの、木製のおもちゃになったお雛様。
小黒三郎さんはひなまつりに限らず、工芸的なおもちゃを数多く制作されている作家さんで、様々なおもちゃショップさんで探すことができるそうです。
木質の温かみとイラストがかわいい「木製おひなさま」
北海道・旭川市にあるクラフトメーカーさんが手掛ける木工製品。
東京・秋葉原の高架下にある商業施設「2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル)」内に直営店があり、かわいい木製の製品を販売しています。
参考
下記の資料およびサイト様を参考にさせて頂きました。
Webサイト
- ヒョウ柄・デザイン水玉・ハート柄・チェックなど、現代風のデザインパターンが選べる雛人形セット「ぷりコレ」
- コンパクトでかわいらしい雛人形「ぷりふあ」
- 小黒三郎さんの組み木の季節人形
- 雛祭り - Wikipedia
- 内裏 - Wikipedia
- 牛車 - Wikipedia
- 雛人形・こいのぼり・五月人形の節句専門店「ぷりふあ人形」
- こだわりと遊び心あふれる木製雑貨の店「NOCRA」
- 旭川の木製クラフトメーカー「ササキ工芸」
- 東京・秋葉原の高架下商業施設「2k540 AKI-OKA ARTISAN」
- 「ちゃんと説明できる!?ひな祭りの歴史と由来まとめ」- NAVERまとめ
- 「奥様はヒョウ柄!?未来を生きてるおひなさまと雛人形の種類!」- NAVERまとめ
資料
- 「日本の旧家雛めぐりの旅」著:萬眞智子
- 「日本の雛人形 決定版 江戸・明治の雛と道具六〇選」著:是澤博昭
- ひな祭り文化普及協會 公式ホームページ
- ひな人形の由来と飾る時期 - All About
- 雛人形の雑学「雛雑学(ひなざつがく)」
- 雛人形のお道具「雛雑学(ひなざつがく)」
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